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ところで、こころで

IT、ガジェットについて、あれこれ語ります

Webサービスはフリーミアムの箱から抜け出せるのか?

フリーミアムという幸福な時代

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2008年はクラウドベースのWebサービスが花開いた年だった。前年に開始したDropboxに続き、Evernoteがスタートした。

人々がスマホを使い始め、パソコンと合わせて複数の端末を所有するとデータの同期が課題になった。PCに保存した情報をスマホで参照したいし、スマホで情報を更新したとき、複数のバージョンの情報が混在すると使いづらい。

そこで登場したのがDropboxや、Evernoteだ。Dropboxは複数端末間のファイル共有と同期を行うオンラインストレージであり、Evernoteは複数のノートをクラウドに蓄積し、どの端末からでも検索・抽出できるようにした。

ふたつのサービスの特徴は初期使用料が無料だということだ。両方とも少ない容量しか使わないなら費用を負担する必要はない。いくつかの制限はあるが、95%以上の客は一円も払わず、より多くの容量で使いたいハードユーザーである数%の人だけが負担する費用で経営を成り立たさせるビジネスモデルで、フリーミアムと呼ばれた。

フリーミアムは、ユーザーと企業両方が幸福になるビジネスモデルだと言われていた。このモデルの背景には、Webサービスは無料というカルチャーがある。インターネット初期は、通信料金以外インターネット上のサービス・情報はほぼ全て無料だった。お金を稼ぐよりも、まずインターネットという新しい世界で人気をつかむことが大事だったのだ。太平洋を目指してアメリカ大陸を西へ向かった開拓民のような熱気が当時のインターネットには広がっていた。当時は通信料金が高かったので、サービスも有料にしたら誰もアクセスしないという理由もあった。

 

マネタイズに苦労するフリーミアム 

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2010年を過ぎた頃から、Webサービスはマネタイズに苦労し始める。Webサービスの寡占化が進んだのがひとつの理由だ。

GmailGoogle MapなどGoogleが提供するサービスの品質は高く、もちろん無料だ。Googleのサービスや検索を毎日使用していても、Googleに直接お金を払った経験がない人は大勢いるだろう。もちろんGoogleも霞を食べているわけではなく、広告収入がGoogleのビジネスを支えている。

世界最大のWeb広告代理店となったGoogleだからできる手法で、中規模ベンダーは別の手法を取らざるをえない。

Evernoteが行ったのは無料ユーザーの機能を制限して、課金へ誘導することだ。一度便利さに慣れた人は不便な生活に戻れないとよく言われるが、それは代替手段がない場合で、Evernoteの代替ツールが、MicrosoftOneNoteなど大勢ある。

tkan1111.hatenablog.com

既存ユーザーの機能を絞るEvernoteの施策はネットでの評判からは成功していないようにみえる。

 

企業ユーザーは無料が不安

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では、どうしたらWebサービスを継続できるのか? ひとつの鍵はビジネスユーザーである。Webサービスは無料だと慣れきっている個人ユーザーと異なり、ビジネスユーザーは有料でも仕方がないと考える。

無料だとそのサービスがいつ停止しても、なくなっても文句は言えない。そんな不安定なサービスをビジネスで使用するのはリスクでしかない。無料であるが故、セキュリティの面で不安なWebサービスも多い。

ビジネスユーザー向けにサービスを展開して成功しているのがDropboxだ。Dropboxでは個人ユーザーは無料で使用できるが、ビジネスユーザーは有料だ。ビジネスユーザーだと、ユーザーアカウント管理ができて、不正なアクセスも防止できる。削除したファイルの復元、ファイルの更新履歴管理とビジネスの継続をサポートする機能が提供される。

Dropboxは年間売上予測が10億ドル、企業ユーザー数は12万社以上とビジネスが順調だと発表した。今年後半にはIPOも計画していると言われている。

jp.techcrunch.com

 

個人ユーザーも課金の覚悟が必要な時代

企業向けが好調だからかDropboxでは個人ユーザーへの機能制限は今のところないが、Webサービスは無料という幸福な時代は終わりを迎えようとしている。スマホゲームは課金が前提になり、新聞は無料で閲覧できる記事を制限している。課金を促す手法は昔より洗練化され、巧妙に無料ユーザーを絡め取ろうとしている。

今後も、我々がWebサービスを利用していくためには、良質なサービスを選別し、本当に自分にとって便利なサービスには課金する覚悟が必要なのもかもしれない。そうしないと広告収入をおさえるGoogleのような巨大企業しかWebサービスを提供しなくなる選択肢が乏しい時代になってしまう。