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iphoneとiPad Proのための新製品の発表

Appleは春のイベントを行わず、新製品の発表だけを行った。Appleがサイレントローンチするのは、インパクトが小さい製品をわざわざ紹介するとイベントの価値が落ちるからだ。毎回注目されるAppleのイベントは莫大な広告費の代わりになるぐらい影響が大きい。

今回発表された製品はマイナーチェンジばかりで確かにインパクトは小さいが、Appleの今後の戦略を占うのに重要な意味を持つ。ひとつずつ見ていこう。

iPad

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Air」の名称が取れた新iPadは、大雑把位に言えば前々モデルになるiPad Airに新CPUを載せてTouch IDをつけた仕様になっている。重量もAir 2より重く、厚みも増し、iPad Airに退化した印象だ。

iPad Proと差別化するためにApple Pencilには非対応、Smmart Connectも搭載していない。

新しい無印iPadの最大のポイントは価格だ。iPad史上最安となる3万7800円は、このiPadの立ち位置を明確に示している。iPhoneに慣れたユーザーが、より快適にコンテンツを消費するツールとして気安く購入できる価格帯にした。さらに言えば現行のタブレットの需要はAppleブランドをもってしてもこの値段でしか売れないのだ。

PCの代替を目指すコンテンツクリエイター向けのiPad Proとポジションを離すことで、双方の特徴を明確にしている。性能も異なれば価格も二倍近く違うので、もはや「iPadiPad Proのどちらにしようか?」と悩む人は少ないだろう。

その代わりに、安い値段でiPadを拡販し、無印iPadの性能に飽き足りなくなったユーザーをiPad Proに誘導する目的があるのだろう。

PCの代替需要を獲得する目的をもつiPad Proにユーザーの目が行くように、タブレットが売れなくなってもAppleiPadを捨てる訳にはいかない。

iPhone (PRODUCT)RED Special Edition

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iPhone史上発のREDモデル。色以外に何も変わらないし、多くのユーザーがケースを装着してる現状、ボディ色に大きな意味があるとは思えないが、広告のインパクトはある。予想外に変更されなかったiphone 7のボディに飽きがきているユーザーにとってiphone 6あたりから買い替えを促すきっかけにはなる。

これも、やはりiphoneしか売れない、iphoneを売らざるを得ないAppleの苦悩が見え隠れする。

 

更新された製品と更新されなかった製品

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他の新商品は本当にマイナーな変更・追加にとどまった。更新・追加された製品は、iphone SEApple Watch(のバンド)、iPad mini

iphone SEは容量が増えて実用的なラインナップとなった。安価なiphoneとしての位置づけであるSEのニーズは一定数あるので、iphoneiOSのシェアを増やすために重要な製品と判断したのだろう。

Apple Watchバンドの追加だけだが、ファッションとしてのApple Watchブランドを維持するために定期的な追加発表は大事だ。Apple Watchを長く育ていきたいAppleの思惑が見える。

iPad mini4はラインナップを縮小。iPad mini2と32GB版を廃止、128GB版を値下げした。128GBで45,800円という価格はiPad 128GBと比べて3,000円しか安くない。

本来はもっと高い値で売りたいのだろうが、iPadを戦略的に拡販するために値下げした関係で無理やりこの値段に押し込められた印象だ。

今回期待されていながら更新されなかったのは、iMacMac miniMacBookだ(Mac Proは後日アップデートされた)。

クックも言及しているのでMac mini以外の製品はいずれアップデートされるのだろうが、長らく放置されているのは事実だ。iphoneiPad Pro以外の機種はAppleの中での優先順位が下がっている。

Appleとしては、屋台骨であるiphoneとPCの代替を目指すiPad Proをいかに拡販するかが重要で、それ以外の製品の優先度が低いのは仕方がないかもしれない。

Appleの方向がより明らかになった今回の発表だった。

 

任天堂が解消できたSwitchの懸念点と、まだ残る課題

任天堂は『Nintendo Switch』を3月3日に発売した。Wii Uの反省を踏まえて、ハード・ソフトとも多くの点を任天堂は改善した。ネットでの評判も上々である。

発売前にあがっていた懸念点と今後の課題を記す。

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モダンになったOS

遅い起動、いつ終わるかわからないアップデート、Wii U OSの評判は散々だったが、Switchでは改善している。サクサクした動き、考え抜いた結果であるシンプルなメニューはモダンな印象を受ける。

今回ターゲットである大人を意識したメニュー画面になっており、スマホに強く影響を受けている。

Wii U同様に発売当日にアップデートがかかったが、Switchでは数分以内に完了した。今回は下位互換がないので旧機種のバックアップ・リストアも不要でスムーズに移行できる(Wii Uではこの作業に半日近くかかった)。

https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/specs/img/img07.jpg

 HDMI CECに対応

発売当日のアップデートでSwitchはHDMI CEC(HDMIリンク)に対応した。Wii Uでは最後まで未対応だったし、仕様も公開されていなかったので危惧していたが、きちんと間に対応してきた。液晶からテレビ画面へ簡単にスイッチできるのが売りなのだから、TVリモコンの操作が必要では煩雑過ぎる。

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大きな不具合なし

発売前には悪い噂も流れたが、目立った不具合はない。左ジョイコンの遅延もどうやらボンバーマンRで起きる固有の問題のようだ。

ジョイコンの充電は面倒

3つのモードで遊べるSwitchだが、どのモードで遊んでも充電の課題がある。

  • TVモード・・・ドックに繋がる本体は問題ないが、ジョイコンは24時間しかバッテリーが保たない。ジョイコン単体では充電できないので、遊び終わったら毎回本体に接続しないといけない
  • テーブルモード・・・USB-C端子が下部にあるので充電しながら遊べない
  • 携帯モード・・・本体に接続しているジョイコンの充電は問題ないが、本体のバッテリーはゼルダで遊んでいると3時間ぐらいしか保たない

ジョイコン充電グリップを購入すれば、遊びながらでもジョイコンを充電できる。

据え置き機であればTVモードがメインの使いみちになるのだから、同梱のの充電できないグリップではなく、こちらの充電グリップを同梱してほしかったがコストの関係だろうか?

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最大の課題はソフトウェアの供給

ローンチのゼルダは高評価だが、Wii U版もあるので、ゼルダのためだけにSwitchを買う理由に乏しい。1-2-Switchは同梱するべきボリュームでローンチの起爆剤になりそうもない。

当初から言われているようにローンチの弱さをカバーするソフトウェアが任天堂サードパーティーから計画的に供給されるかどうかがSwitchひいては任天堂の命運を決めることに変わりない。

 

ブームを起こすには弱すぎるPS VR

SONYPS VRの出荷台数が91万5000台に達したと発表した。

www.jp.playstation.com

対応したコンテンツも100本を越えて順調なことをSONYはアピールしている。

しかし、未だに供給が追いついておらず、海外の方が余っているからと個人輸入する人もいるぐらいだ。

 

増産できない理由は明らかになっていない。歩留まりが高い部品があるとも聞こえていないので、単純に生産施設が不足しているのか。

VRゲームを一般化するような大きなブームメントを起こすには、台数は全然足りない。3Dゲームのように一過性のブームで終わらせないためにも、増産に力を入れて欲しい。

 

巷に流れるSwitchの悪い噂を検証する

発売まで一週間を切った今、Switchを巡る悪い噂が飛び交っている。新機種が出る前にネガティブキャンペーンみたいなデマが流れるのはよくあることだが、先行して本体を入手したメディアからの発信も多く、全てがデマとは言い切れない。

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左ジョイコンの応答が悪い?

複数メディアが取り上げているのが左ジョイコンの応答が悪くなるときがあるというもの。体験会でも経験したレポートもあるので、確度は高い。

この動画で検証しているとおりだとすると、本体とジョイコンの間に手や体など遮蔽物があるとジョイコンの応答が悪くなるようだ。ジョイコンは小さいので手が覆うように持つと同じ現象が起きてしまう。

youtu.be

ジョイコンはBluetoothで通信しているので、通信出力を上げるアップデートを行えば解決しそうだが、ハード側の仕様だと解決できない。仮にソフトウェアで解決できても、サイズが小さいジョイコンがバッテリーの保ちを気にしての現行仕様だとすると、通常に遊ぶのに困るほど頻繁に充電が必要になる可能性もある。

カメラが組み込まれてバッテリーの容量が小さいと予想される左ジョイコンだけを起きるのも気になる。

 

スタンドが弱い?

「テーブルモード」で遊ぶ時に本体を立てるスタンドが弱すぎるという記事もでている。スタンドを開いたままドックに刺すとスタンドが吹っ飛ぶ懸念も上がっているが、どうやらわざと外れやすくして部品の破損を防いでいるようだ。

 

youtu.be

任天堂のハードには子供が安心して遊べる厳しい安全基準があり、今回のSwitchについても任天堂は安全に気を遣っている。手に持ったジョイコンを誤って投げないようにストラップを本体に付属した。

ただ、このスタンド、外れやすいのは仕方がないとして一定の角度にしか固定できなかったり、片側だけで支えているので画面をタッチすると倒れやすい仕様なのはいただけない。テーブルモード時に画面をタッチ操作する動画をあまり見かけないのはこの問題を懸念しているからだろうか?

バッテリーが保たない?

携帯モードで遊ぶ時にバッテリーが保たないという噂もでているが、この記事だとゼルダで遊んで約3時間保ったそうだ。

www.youtube.com

3DSやPS Vitaの他の携帯機とくらべても悪い値ではない。以前の携帯機とくらべてSwitchの筐体は大きいが、携帯性を考えてバランス良いバッテリー容量を搭載していると考えられる。

それ以外の噂は?

噂:携帯モードで遊んでいるときは本体の充電ができない

解:一次ソースがなくデモっぽいが、携帯モードで遊んでいる時にジョイコンの充電ができないのは仕様

 

噂:スリープモードから回復すると外しているジョイコンとのリンクが切れる

解:高橋名人のブログがソース。実際に起きたようだが、再現性があるのか不明

ameblo.jp

 

早めのアップデートが鍵

初期プロダクトに多少の不具合があるのは仕方がない。いかに素早く解決できるかがポイントだ。ゲーム起動に時間がかかる問題をWii Uを長らく解決できなかった(根本解決は最後まで行えなず)。

アップデート環境も問題だ。Wii Uでは買ってすぐにアップデートがかかったが任天堂のサーバー環境が貧弱でアップデートまで時間がかかったり、アップデートが失敗したり、せっかく新しいハードを買っても何分も遊べない事態となった。これらはWii Uの初期イメージを著しく悪化させた。

Wii Uの反省も踏まえて、任天堂がきちんと対策していることを望む。

孤独な端末

Amazon音声認識技術『Alexa』は他社へ無償で提供しているので、普及が進むと、家中に複数のAlexa対応機器が混在することになる。

それぞれの機器が単体での動作を前提にしているので、「Alexa」と呼び出したときに近くにあるすべての機器が反応してしまう。

Alexa搭載のテレビと冷蔵庫があって、たとえば「冷蔵庫の中身をテレビに映して」と命令したら機器同士が連携してほしいところだが、今はそういった連動ができない。

Alexaは音声情報をネット経由で送信し、サーバー側で解析した依頼内容に合わせたアクションを実行する。そのためかクライアントとサーバー間のやりとりだけで、ローカルの端末間の通信は行えない。

現状は同じ空間に他のAlexa搭載機器があるかどうかローカル端末もサーバー側も判別していない。さっきの冷蔵庫とテレビのような連携を行うためには家の中にハブを置くのが妥当だろう。

動画や写真を格納するホームサーバーは以前からあったが、Huluに代表される定額動画サービスやgoogleフォトなどのクラウドサービスが普及したので、一般家庭ではコンテンツを格納するサーバーを必要としていない。

Alexaが必要としているのは、クラウドサービスと複数端末を連携するための集中管理システムだ。

他社を見てみると、Androidは複数の端末が同じ部屋にあっても端末同士を意識していない。

限定的ながら、実現できているのはAppleだ。近くの端末間でファイルのやりとりができるAirDrop、携帯回線に繋がるiPhone経由でMacから電話を掛けることができるなど連携ができる。BluetoothイヤフォンのAirPodsは近くにある同じiCloudアカウントの端末と自動的に繋がる。

垂直統合型だから連携しやすいApple製品でも音声認識技術でSiriは端末間の連携ができない。iPhoneのSiriに「部屋のMacを起動して」とは命令できない。

いわゆるIoTが普及し家庭に複数端末が存在するのが当たり前になってくると、端末間の高度な連携は今後のITが進化するための大きな課題のひとつになるだろう。 

PCは死んでいない

PCビジネスを主体とするHP Inc.が発表したQ1決算では、PC事業が増収だった。

 

itpro.nikkeibp.co.jp

PC市場全体が拡大しているのではなく、Lenovo, HP, Dellの上位3社に寡占化が進んでいるだけだ。Acerなどの台湾メーカーの不振が大きい。

進化が止まり、価格勝負になってきたPC業界では大量生産できる上位企業がより優位になってきている。仕入れ部品がコスト高になる中位企業は利益かシェアのいずれかを落とす選択をしなければならず、どちらを選んでもネガティブスパイラルに陥ることになる。上位3社が有利な構図は当面変わらないだろう。

今回の決算ではPC事業は増益でもあった。AppleMacbook, MSのSurfaceなど強豪が多い中、高付加価値PCであるEliteが好調だった。

PC市場が拡大しない現状で、上位PCベンダーは、利益がとれる高付加価値のPC、DellXPSシリーズ、LenovoはYoga, ThinkPadの販売に注力している。

大量生産で利益を上げているからこそ、高付加価値PCの開発に資金が遣えている。次のポイントは、さらにPC市場が縮小したときに、上位3社のいずれが生き残れるかだ。それぞれ特徴があるので、興味深いところだ。

 

 

Appleの東芝への出資は実現するのか?

東芝半導体ビジネスにAppleが興味を持っている記事がでたが、本当だろうか?

 

headlines.yahoo.co.jp

ソースもよくわからないし、こういった非常事態には多くの噂を流し有利に交渉しようとする輩もいるので、容易には信じられない。

過去の実績から、完全買収はなくても出資はあり得ると予想する。

これまでファブレスAppleの戦略だった。工場を自社で持たず、外部委託することで素早く製造ラインを立ち上げ、需要の増減に臨機応変に対応してきた。

東芝半導体ビジネスを買収すればAppleファブレス経営を原則を揺るがすことになる。半導体の需要が落ちて東芝半導体分野が経営危機になれば、Appleの経営にも影響がある。そんなリスクをAppleが犯すだろうか。

以前にもAppleが工場に大型出資した事はある。シャープとジャパンディスプレイなどの液晶メーカーである。iPhoneiPadの旺盛な需要に合わせて、液晶パネルを安定的に供給してもらうために出資したわけだ。

東芝が製造するNANDメモリーは現時点では活況なので、安定的な供給を得るためにApple東芝に出資することはあり得ると思う。